次に、エマルジョン(emulsion)PCRです。
アダプターをつけたDNA断片をPCRをしながらビーズに固定してクローン化されたビーズを作ります。
この作業によってDNA断片のクローニング作業が必要なくなります。めちゃくちゃ楽です。
まず、大量のアダプターAプライマーが固定化されたビーズとアダプターをつけた一本鎖のアダプターがついたDNAをPCRバッファー(プライマー入り)とオイルが混ざった溶液にいれて攪拌します。
すると、エマルジョンができて、中には一つのDNA断片と一つのビーズが入った状態のものがあります。
なんと、このままPCRをかけるんです。
各エマルジョンの中でPCR反応がはじまります。
そうすると、固定化されたDNA断片が増殖したビーズが出来上がります。
うそみたいな話ですが。
このウニみたいな感じになったビーズについているDNA断片はすべて同じDNA断片が複製されたものです。
一番右はエマルジョンの写真です。
参考
Margulies et al., 2005, Nature, 437, 376-380
http://www.454.com/index.asp
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454のホームページや論文を読んだら書いてあるのですが、
信じられない発想なので理解しがたいと思いますので日本語で説明します。
Margulies et al., 2005, Nature, 437, 376-380
http://www.454.com/index.asp
そもそも454シークエンサーはゲノムを一度に多量にシークエンスするために開発されました。
一度にというのは、一回のランでという事です。
ぶつぶつに切ったゲノムDNAをサンプルにしてランダムに読むのですが、
一度のランで300,000readsも得る事ができます。
しかし、各READSは平均120bpと短いです。
上の写真をクリックすると拡大できるので見てください。
ゲノムをブツブツにきります。シアーリングといって、物理的にきります。
この論文では、DNAを混ぜた液体で霧を作ることで、DNAを小さな断片にしました。
各DNA断片の端にAとBのアダプターをつけます。Bのアダプターがついたほうがシークエンスが始まる側になります。
一番右側の図はどうやってアダプターをつけるかという説明の図ですが、ややこしいので説明はしませんが、
ビオチンをつかってうまくAとBのアダプター対になっているシングルストランドの断片だけを抽出する方法です。詳しくは論文のサプリメンタルデーターで。
スプライシングリーダー(SL)トランススプライシング
SLトランススプライシングが起こる生き物は進化的に不可解。
SLトランススプライシングは一部の生き物で起こる特別なスプライシングである。
ユーグレナ、線虫、脊索動物、ヒラムシ、ヒドラ、ワムシで見つかっている。
英語では、euglenozoans, nematodes, chordates, flatworms, cnidarians, rotifersとなる。
植物、昆虫、脊椎動物では見つかっていない。
SLトランススプライシングの仕組み。
通常のシススプライシングと比べればわかりやすいが、シススプライシングでは5'側のエクソンの3'端がドナーサイトとなる。SLトランススプライシングではスプライシングリーダー配列(SLRNA)がドナーサイトとなる。SLトランススプライシングはシススプライシングと似たメカニズムで起こっていると考えられている。SLトランススプライングが起こると、それより上流は切り取られてしまうので、SLは常にmRNAの5'端につく。 ちなみに、SLトランススプライシングで切り取られてなくなってしまう部分をアウトロン(outron)という。SLトランススプライシングが働くためには、ブランチポイント(Branchpoint)Aとpolypyrimidineサイトが必要だ。
SLトランススプライシングが起こる生き物は進化的に不可解。
SLトランススプライシングは一部の生き物で起こる特別なスプライシングである。
ユーグレナ、線虫、脊索動物、ヒラムシ、ヒドラ、ワムシで見つかっている。
英語では、euglenozoans, nematodes, chordates, flatworms, cnidarians, rotifersとなる。
植物、昆虫、脊椎動物では見つかっていない。
SLトランススプライシングの仕組み。
通常のシススプライシングと比べればわかりやすいが、シススプライシングでは5'側のエクソンの3'端がドナーサイトとなる。SLトランススプライシングではスプライシングリーダー配列(SLRNA)がドナーサイトとなる。SLトランススプライシングはシススプライシングと似たメカニズムで起こっていると考えられている。SLトランススプライングが起こると、それより上流は切り取られてしまうので、SLは常にmRNAの5'端につく。 ちなみに、SLトランススプライシングで切り取られてなくなってしまう部分をアウトロン(outron)という。SLトランススプライシングが働くためには、ブランチポイント(Branchpoint)Aとpolypyrimidineサイトが必要だ。